この記事は、キャンプ初心者を対象とした「シングルバーナー選びの基礎知識」を紹介しています。
この記事は、こんな人におすすめ
- シングルバーナーの購入を検討中!
- CB缶とOD缶って何が違うの?
- 自分に合ったシングルバーナーを知りたい?
シングルバーナー選びにおいて、このような疑問はありませんか?
この記事では、そんなシングルバーナー選びの疑問にお答えします。
CB缶とOD缶の違いからシングルバーナー選びのポイントまで、詳しく順番に解説しています。
キャンプ初心者の方でも、分かりやすい内容となっていますので、シングルバーナー選びの参考にしていただければ嬉しいです。
ガス缶(カートリッジ)のことを知ろう
ガス缶(カートリッジ)は、形状やサイズもさまざまです。
種類がたくさんあると、シングルバーナー選びで悩む原因になってしまいます。
そんな悩みも、ガス缶(カートリッジ)を少し深く知ることで解消できますので、順を追って解説していきますね。
CB缶とOD缶?ガス缶(カートリッジ)の種類
ガス缶(カートリッジ)は、「CB缶」と「OD缶」の2種類に分類できます。
CB缶とOD缶は、形状が大きく異なり、使用できるシングルバーナーも違います。
CB缶とは
CB缶の「CB」とは、“Cassette gas Bombe(カセットボンベ)”の略です。
家庭用カセットコンロでも使用される、縦長の形状をしたガスカートリッジです。
OD缶とは
OD缶の「OD」とは、“OutDoor(アウトドア)”の略です。
登山用品やキャンプ用品の売場に置いてある、お椀を逆さまにした形状のガスカートリッジです。
「CB缶とOD缶」のメリットとデメリット
CB缶とOD缶を比較して、どちらが優れているということはありません。
どちらにもメリットとデメリットがありますので、シングルバーナーを選ぶうえで、それぞれの特徴を知ることが大事です。
CB缶のメリットとデメリット
CB缶のメリット
- 価格が安い
- 入手しやすい
- ガスカートリッジに互換性がある
CB缶の価格
CB缶(250g)の価格は、1本あたり100〜350円ぐらいです。
CB缶を購入できるお店(実店舗)
- コンビニ
- スーパー
- ドラッグストア
- 100円ショップ
- ホームセンター
- 家電量販店
◆CB缶の互換性
1995年の阪神・淡路大震災では、ガス缶やガス器具があるにもかかわらず、CB缶の規格が統一されていなかったことにより、混乱が生じました。こうした教訓のもと、1998年にJIS規格が改正され、CB缶の形状は規格によって統一されました。
こうした背景から、CB缶は互換性が保たれています。
ただ、メーカーの取扱説明書には、「当社指定のガスカートリッジを使用して下さい」といった注意書きがあります。
万が一の事故に対してメーカーは保証ができないことから、他社のCB缶の使用はあくまで自己責任という意味だと思います。
ちなみに私も、自己責任のうえで他社のCB缶を使用することがありますが、これまで事故になったことは一度もありませんよ。
もちろん推奨するわけではありません。
CB缶のデメリット
- スタッキング(重ねて収納)がしにくい
- 寒い時期に、火力が低下し安定しない
スタッキング(重ねて収納)がしにくい
CB缶は、縦長の形状をしていることからも、クッカーなどに収納して持ち運ぶには不向きです。
CB缶は寒さに弱い
後ほど詳しく解説しますが、CB缶は充填できるガスの成分に規定があります。
そのため寒さに強いガスを多く充填できないことから、寒い時期には火力が低下し、不安定になってしまいます。
具体的には、10℃以下ぐらいになると長時間しようすると火力の低下が現れます。
500ml程度のお湯を沸かすだけであれば、特に問題はありませんが、煮込み料理などの長時間の使用は注意が必要です。
OD缶のメリットとデメリット
OD缶のメリット
- スタッキング(重ねて収納)がしやすい
- 気温に適したOD缶が選択できる
- メリット
- ◯ スタッキング(重ねて収納)がしやすい
◯ 気温に適したOD缶が選択できる - デメリット
- △ 価格が高い
△ CB缶と比較すると入手が難しい
△ ガスカートリッジに互換性が保たれていない
◆スタッキング(重ねて収納)がしやすい
OD缶は、CB缶に比べて背が低いため、クッカーの中に収納することができます。
◆気温に適したOD缶が選択できる
OD缶はCB缶と異なり、充填できるガスの成分比に規定がありません。
そのため、寒い環境下でも使用可能なガスを多く含むカートリッジが販売されています。
OD缶のデメリット
- 価格が高い
- CB缶と比較すると入手が難しい
- ガスカートリッジに互換性が保たれていない
OD缶は価格が高い
OD缶(250g)の価格は、450〜700円程です。
OD缶を購入できるお店(実店舗)
- アウトドア専門店・登山用品店
- スポーツ用品店のアウトドアコーナー
- ホームセンターのアウトドアコーナー
OD缶の互換性
OD缶は、CB缶のようなに規格が設けられていないため、互換性が保たれているとは言えません。
実際に、OD缶によって結合部の形状が異なる場合もあるため、注意が必要です。
CB缶とOD缶の違い
CB缶とOD缶の違いは、3つあります。
- ガス缶(ガスカートリッジ)の形状が違う
- 使用できるガス器具が違う
- 充填できるガスの配合比率が違う
①と②は、外見から分かりやすい違いです。
③の「充填できるガスの配合比率の違い」は、外見からは分からない違い。
しかし、シングルバーナー選びにおいて、重要なポイントなので、詳しく解説していきます。
ガスの種類や性質を知ろう
シングルバーナー選びにおいて、ガスの性質を知ることは重要です。
ガスによって、使用に適した気温が異なり、ガス缶の価格も異なります。
実際の使用やランニングコストに直結するポイントです。
ガス缶に使用されるガスとその性質
使用されるガスの種類
ガスカートリッジに使用されるガスは3種類です。
ガスカートリッジに使用されるガスの種類
- ノルマルブタン
- イソブタン
- プロパン
ガスの性質
3種類のガスの性質と特徴を表にまとめてみました。
沸点とは、液体が気体になる温度という認識で十分です。
沸点の低いガスほど、より寒い環境に適していると言えます。
また、市販されているガス缶に関しては、ノルマルブタン<イソブタン<プロパンの順で、価格に違いが見られます。
寒い時期に使用するのであれば、価格は高くなってしまいますが、イソブタンやプロパンの配合比率が高いガス缶を選ぶ必要があります。
寒い時期に火力が低下する原因
正常なガス器具を使用してても、火力が低下することがあります。
その理由は、以下の2つがあげられます。
- ①外気温が低い
- 外気温がガスの沸点に近いと、ガスが十分に気体になれず、カートリッジ内の圧力が上がらないため、火力が低下します。
- ②長時間の使用
- 液体が気体に変化する過程で、気化熱を必要とします。ガス缶の場合、長時間使用するとガス缶内部の温度がどんどん下がります。温度が下がり沸点に近づくと、圧力が低下し結果的に火力が落ちてしまいます。
火力の低下の原因は、ガスカートリッジの内圧の低下です。
沸点の低いガスが多く充填されていることで、火力の低下は抑えられますよ。
外気温が10℃を下回るようであれば、イソブタンやプロパンの配合比率の高いガス缶(カートリッジ)の使用をおすすめします。
さらに外気温が0℃以下になる環境では、プロパンの配合率が高いガス缶(カートリッジ)必要になってきます。
そこで、「寒い時期にはCB缶でもOD缶でも、プロパンの配合の多いカートリッジを選べば良い」という結論に至りそうですが、実はそうもいきません。
OD缶に関しては、プロパンの配合比率の高いガス缶(カートリッジ)が販売されていますが、CB缶にはそういった商品が無いからです。
プロパンの配合比率が高いCB缶が無いのはなぜ?
CB缶はOD缶と違い、充填されるガスの配合比率がJIS規格によって定められています。
上記の「ブタン」とは、ノルマルブタンとイソブタンのことで、「その他の炭化水素」については、プロパンと解釈して大丈夫だと思います。
このようにCB缶は、規格によって制限があるため、プロパンの配合比率が高くありません。
CB缶が寒い時期に向かないとされる理由は、こうした背景にあります。
プロパンは火力が強いのか?
ネットでは「プロパンは火力が強い」と書かれていることもありますが、実際はどうなのでしょうか?
少し気になったので、調べてみました!
わずかな違いはありますが、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンガスいずれも、重量あたりの発熱量に大差はありません。
大きく違うのは、蒸気圧。
ノルマルブタンやイソブタンに比べて、プロパンは勢いよく噴出されるよ!と言った感じです。
プロパンは、沸点が低い性質から寒冷地での使用には適しています。
しかし、ガスの消費も早いので、使用する環境に適したカートリッジの選択が大切です。
実は、寒い時期に使えるCB缶があります
CB缶はJIS規格によって、プロパンガスの配合比率が5%以下に決められていると記述いたしました。
しかし、実はプロパンの配合比率が5%を超えるCB缶が存在します。
それは、SOTOのパワーガス(ST-760)です。
こちらのカートリッジに充填されるガスの成分比は
ブタン:88〜92%、プロパン:8〜12%
CB缶は、規格でガスの配合比率が決められてるのに…なんで?と思い、
新富士バーナーさんに直接聞いてみました。
新富士バーナーさんの回答は
「成分の違いにより規格外となり、『JIS規格でないCB缶』となります。」
という内容でした。
要約すると、形状などはJIS規格であるが、成分が規格外ということ。
JIS規格のCB缶であれば、本来は互換性が保たれていると思いますが、このST-760に関しては断言できません。
なので、同メーカーのバーナーを使うのが無難ですね。
それにしても、寒い時期にも使えるCB缶は珍しい!
「春・夏・秋がメインだけど、冬も時々キャンプ行くよ!」って方には、とても相性の良いガスカートリッジと言えますね。
冬のキャンプ(最低気温0℃前後)で、CB缶タイプのシングルバーナーを使うなら、SOTOのレギュレーターを搭載したバーナーがおすすめですよ。
レギュレーターを搭載した、CB缶タイプのシングルバーナーは以下の3アイテムです。
- ST-310 レギュレーターストーブ
- ST-330 レギュレーターストーブ「FUSION」
- ST-340 レギュレーターストーブ「RANGE」
レギュレーターストーブとは
気温5℃から25度の環境下でも常に一定の火力をキープする、SOTO独自開発のマイクロレギュレーターを搭載したストーブ。
新富士バーナー「レギュレーターストーブ Range(レンジ) ST-340」より引用
連続使用時や低温時におけるボンベ内の圧力低下に影響されにくく、安定した火力を発揮します。
これまでのカセットガスを燃料としたストーブの常識を覆し、早春から晩秋までの強い味方になります。
シングルバーナー選びのポイント
シングルバーナー選びのポイントは2つです。
- キャンプを行う季節(最低気温)で選ぶ
- 「収納性」か「ランニングコスト」どちらを優先するかで選ぶ
最も重要なポイントとなるのが、キャンプを行う季節(最低気温)です。
- 冬(最低気温0度以下)
- 外気温が0℃以下の厳しい寒さでは、シングルバーナー選びに選択肢はありません。
OD缶タイプの一択となります。
- 晩秋・冬・初春(最低気温0℃以上)
- 外気温が0℃前後であれば、OD缶タイプかレギュレーターを搭載したCB缶タイプの2択。
- 春・夏・秋(最低気温10度以上)
- 最低気温が10度を超えてくると、シングルバーナーの選択肢は広がります。
CB缶タイプでもOD缶タイプでも、ガスの性質による制限はありません。
次に重要なポイントは、何を優先するか?です。
氷点下の寒さの厳しい冬では、OD缶タイプの一択でしたが、最低気温が0℃以上になると選択肢が出てきます。
選択肢の中から、優先事項(収納性orランニングコスト)がはっきりすると、ご自身に合ったシングルバーナーが見つかりますよ。
- 晩秋・冬・初春(最低気温0℃前後)
- 【収納性を優先】
徒歩キャンプや自転車キャンプなど、少しでも荷物をコンパクトに収納したい方は、OD缶タイプがおすすめです。
【ランニングコストを優先】
ガスカートリッジは消耗品ですので、キャンプを続けていくとコストがかかります。そうしたランニングコストを抑えたい方は、レギュレター搭載のCB缶タイプがおすすめですよ。
- 春・夏・秋(最低気温10度以上)
- 【収納性を優先】
徒歩キャンプや自転車キャンプなど、少しでも荷物をコンパクトに収納したい方は、OD缶タイプがおすすめです。
【ランニングコストを優先】
キャンプを続けていくうえでの、ランニングコストを抑えるならCB缶タイプのシングルバーナーがおすすめ。
また、今後、冬キャンプもやってみたい!とお考えなら、レギュレーター搭載のCB缶タイプを選ぶのが良いですね。
まとめ
この記事のまとめです。
- ガス缶には、CB缶とOD缶があります。
- ガス缶には3種類のガスが使用されます。
①ノルマルブタン
②イソブタン
③プロパン - 3種類のガスには、それぞれ特徴があります。
①ノルマルブタン
⇛寒い時期には不向きだが、安価。
②イソブタン
⇛ノルマルブタンとプロパンの中間的な特徴。
③プロパン
⇛寒い時期に活躍するけど、高価。 - シングルバーナー選びのポイント
①まずは、キャンプに行く時期でタイプを絞る。
②次に、収納性とランニングコストのどちらを優先するか決める。
今回の記事は、以上となります。
シングルバーナー選びの参考になれば光栄です。